自社のメールやサーバを、これまでの契約から他のレンタルサーバ等に引っ越した際、最も気を付けるべきは、独自ドメインの管理です。
今回はそのドメイン移管を行った際に発生しうるトラブルのケースとその対処方法について、解説いたします。
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なぜドメイン移行でトラブるのか?
独自ドメインとは、メールでは [ *****@companyname.co.jp ] 等の「companyname.co.jp」の部分、サイトでは [ https://comapnyname.co.jp ] 等の「companyname.co.jp」の部分を指します。
ドメインはインターネットの世界ではとても重要な役割をもっており、いわば「インターネットの世界の、住所」と言っても過言ではありません。
ドメインを管理する会社をドメイン管理事業者と呼び国内にも複数あり、お名前.com、ムームードメイン、さくらインターネット、エックスドメインなどが有名です。
そしてドメイン移管で問題が発生するのは、十中八九「ドメイン管理事業者の責任」ではなく「新旧レンタルサーバの設定上の問題」であることは意識しておきたいものです。
一番注意するのはWebサイトとメールサーバを分けて違うサービスを使う場合
最近ではMicrosoft365やGoogle Workspaceなどクラウドメールサービスを使う会社がとても増えてきました。一方でWebサイトは従来通りレンタルサーバを利用している会社が多いです。このようにWebサイトで使うレンタルサーバーと会社の独自ドメインでメールを使うメールサービスを分けている状況でトラブルになるケースが多いので作業前に十分注意してください。
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従来の設定だとGmailにメールが届かない?
迷惑メールは社会的に大きな問題となっていることを踏まえて、Gmailは、2024年2月以降Eメール受信に対する認証要件を厳格化することを通知しています。Googleの動きに合わせて、Yahooも同様の要件を実施すると告知しており(2023年12月現在)、今後さらに他のメールサービスも追従する可能性が高いです。
GmailやYahooメールを使っている方にとっては、迷惑メールが届きにくくなるというメリットがありますが、注意いただきたい点は、Gmailの示す認証要件を満たさないと、迷惑メールではないのにメールが送達できなくなる可能性があり、Gmailにメールを送るすべてのサーバはGmailの要件を満たすように構成する必要があります。
今回Googleが提示した認証要件の一つである「送信元のドメイン認証設定」は、以前からEメールにおけるベストプラクティス(実施することが望ましい対応)であるため、もし現在自社のメールサーバで対応していない場合は、早めに対応することを強くお勧めします。
内容の詳細に関しましては以下の記事をご参考ください。
ドメイン設定の部分に関しては具体的にはSPF、DKIM、DMARCの3つのDNSレコードになります。SPFレコードはメール送信用のレコードとして有名ですがDKIMレコードとDMARCレコードはまだまだ知名度が低く設定していないドメインも多いのでは無いかと思われます。ドメイン代行業者やレンタルサーバーのマニュアルに従って設定しておきましょう。
各レコードの大まかな意味は以下の通りです。
SPFレコード
・・・独自ドメインメールの送信元サーバー、IPアドレスを宣言
DKIMレコード
・・・送信されたメールが正規のサーバーから送信されたものか判断するためのレコード
DMARCレコード
・・・SPFレコードやDKIMレコードの結果、不正と判断されたメールの扱いを宣言
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レンタルサーバを変えたらサイトやメールが使えなくなった
契約変更やサーバ拡張等のために、レンタルサーバを鞍替えするというのは、どの会社においても「良くある話」です。
ところが、レンタルサーバ間の引っ越しをした際「引っ越しをした瞬間に」「引っ越しをした数週間・週カ月後に」接続できなくなった、という場合があります。
これは、ケースバイケースの要因によって発生している事象なのですが、ここでは「よくあるケース」を解説いたします。
引っ越しをした瞬間に、サイトが使えなくなった
これはいくつかのパターンが存在しますが、その殆どが、HTTPサービス等の設定上の問題です。
レンタルサーバと一口に言ってみても、サーバの種類やOS、利用可能スクリプト、設定に至るまで、事細かに調整をする必要があります。
レンタルサーバの設定項には「装飾ドメインなし」のサイトURLもありますので、そちらで正常に動作出来ているか、確認してみましょう。
なお、確認すべき項目を列挙してみました。
- HTTPプロトコルとHTTPSプロトコルは間違っていないか?
- 新旧レンタルサーバでの、コンテンツのディレクトリ位置は間違っていないか?
- 新旧レンタルサーバでの、PHPやCGI/Parl、HTML、SQL等の対応バージョンに差異がないか?
- 新レンタルサーバでの、サーバ仕様に制限が設けられていないか?(パーミッションや禁止スクリプトなど)
引っ越しをした瞬間に、メールが使えなくなった
レンタルサーバ上では、そもそも、メールアカウントの仕様がそれぞれ違っていたりします。
クライアントでのメーラーの設定は、受信プロトコル(POP3/IMAP等)と送信プロトコル(SMTP等)が存在します。
例えば、旧レンタルサーバ上では「pop3.companyname.co.jp」に対して、アカウントとパスワードを求められるものでしたが、新サーバにおいては「pop3.sv5.rentserver.com」になっていた、などと、設定の違いがあることもよくある話です。
メールトラブルの場合、どちらかというと、メーラーの設定(Webメーラーの場合も)が適合していない可能性が高いので、そちらの設定を調整していくことになります。
なお、確認すべき項目を列挙してみました。
- クライアントメーラーの設定上、受信/送信プロトコルが適合しているか?
- 受信用の宛先と、送信用の宛先は、間違っていないか?
- POP before SMTPの設定ではないか?
- SMTP-AUTHの設定ではないか?(レンタルサーバが25番ポートブロックとなっていないか?)
POP before SMTPとは、メールの送信時に「メールを受信して、認証しておく」ことで、送信者が正統であることを確認する機構です。
SMTP-AUTHとは「SMTPのメール送信時にも、認証機能を設けておく」機構のことです。
25番ポートブロックとは、通常の送信プロトコル(25番ポート)を廃し、認証機構が備わった587番ポートを使用することをメーラーに強要させます。
上記の説明で察しの良い方は、もうお気づきかもしれませんが、送信プロトコル(SMTP)は、通常は「認証なしで、誰でも自由自在にメールが送信できる」厄介なプロトコルです。
これは、レンタルサーバ業者が「悪意のあるスパムメールを、送信させないようにするため」の措置なのです。
一昔前からこのような措置は施されておりましたが、レンタルサーバ移転などの手続きの中で、未だに混乱されやすい要因となっています。
引っ越しをした数週間・週カ月後に、サイト/メールが使えなくなった
これは、新旧レンタルサーバの引継ぎが完璧では無かった、という前提から始まります。
旧レンタルサーバの機能を、新レンタルサーバ移行後も意識せず使っており、旧レンタルサーバのサービス契約が終了した際に、発生することが多いのです。
これの場合、サーバ引っ越しの際に、旧レンタルサーバの移行計画をきちんと立てていないと、防ぎようがありません。
確認すべき内容については「ドメイン移行後のDNSレコード等が正しいものか」「メーラーや、サイトツールの宛先が、旧レンタルサーバ向けの設定のままではないか」等が挙げられます。
また、Office365やGoogle Workspace(旧G Suite)等の、クラウドツールへの移行を実施した際、どうしても、アプリ等(メーラーやツールなど)はクラウド上にあります。
普段はそれらをブラウザにてアクセスし、使用するのが楽なのですが、これまで使ってきた業務用メーラーやツールを継続して使用することもあるでしょう。
Office365もGoogle Workspaceも「メーラーへのメール転送」や「各種ツール対応」など、汎用性が高いクラウドサービスなのですが、それぞれの企業ポリシーによって設計されているため、ひと癖ある設定が必要になることも、否めない事実です。
そちらの設定を、ヘルプや公開ドキュメントなどを用いて、適切に設定してください。
Office365やGoogle Workspaceについてはこちら
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所有している独自ドメインの障害、トラブルまとめ
ドメインの設定は専門知識が必要で自力で色々設定しようとするとなかなかうまくいかないのが現実です。
「自力でトラブル解決するのは難しい」という場合は、とげおネットにぜひご相談ください。
その他ドメインの有効期限が切れてしまった時も大きなトラブルになります。お気を付けください。
また一見関係ないようですが迷惑メール対策やなりすましメール対策のためにも正しいドメイン設定をすることが有効です。