ビジネスにおいて動画コンテンツなどが多用されるようになったため、社内LANの構築であっても、通信速度が10Gbps超を確保できる”太い”インターネット回線も当たり前の時代になってきました。
少なくともカテゴリ6A以上のケーブルを用いれば、10Gbpsという回線速度を実現できますが、そのためには社内ほぼすべての機器やLANケーブルを入替えなくていけません。
この記事では、社内LANを10Gbpsに構築するためのポイントをまとめました。是非参考にしてください。
実際の構築事例は以下の記事をご参考ください。

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10Gに対応したLANケーブル
かつては通信速度1Gbpsを確保できる「CAT5e」のLANケーブルが主流でした。
しかし、現在では10Gbpsを確保できる「CAT6A」や「CAT7」などの規格に置き換わりつつあります。
2024年時点での最新規格「CAT8(カテゴリ8)」を始めとした、LANケーブルの規格は以下の通りです。
LANケーブル規格表
規格 | 通信速度 | 周波数 |
---|---|---|
カテゴリ5(CAT5) | 100Mbps | 100MHz |
カテゴリ5e(CAT5e) | 1Gbps | 100MHz |
カテゴリ6(CAT6) | 1Gbps | 250MHz |
カテゴリ6A(CAT6A) | 10Gbps | 500MHz |
カテゴリ6e(CAT6e) | 10Gbps | 500MHz |
カテゴリ7(CAT7) | 10Gbps | 600MHz |
カテゴリ8(CAT8) | 40Gbps | 2000MHz |
上記の通り、10Gbpsの回線速度を持つネットワークを構築したいのであれば、少なくともCAT6A以上のLANケーブルを使用しましょう。
もちろん、CAT7以上のLANケーブルでも問題はありません。
ただし、CAT7以上の性能を十分に発揮するには、LANケーブルを接続する機器も相応の性能を持っている必要があります。
性能を上げれば接続機器の値段も高額になるため、接続側の機器やLANケーブルのコストパフォーマンスから考えても、CAT6Aケーブルで十分だと思われます。
10Gbps以上なら光ファイバケーブルの検討も必要
安定して10Gbps以上の通信速度を出したいのなら、光ファイバケーブルという選択肢もあります。
ただ、一般企業の社内LANで光ファイバケーブルが採用されているケースはほとんどありません。
光ファイバケーブルが敬遠されがちな理由としては、下記の2点が考えられます。
・接続するための設備(光メディアコンバータ、SFPモジュール)も高価
このような理由から敬遠されがちな一方、光ファイバケーブルは「LANケーブルより遥かにノイズに強い」という特性があるため、ピンポイントで活用するのがいいでしょう。
・極力ノイズを避けたい最重要な機器間の接続ケーブルとして利用する
注意したいのは、光ファイバケーブルは取り扱いが難しいため、施工の際は弊社のような専門業者へ依頼することをおすすめします。
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10Gbps対応のLANポート
確認ポイントの2つ目は、LANポート(LANケーブル差込口)です。
パソコンや周辺機器(ハブなど)が10Gbpsの高速通信に対応するためには、機器が持つLANポートが「10GBASE-T」に対応していなければなりません。
◆LANポート規格表
規格 | 最大通信速度 |
---|---|
10BASE-T | 10Mbps |
100BASE-TX | 100Mbps |
1000BASE-T | 1Gbps |
10GBASE-T | 10Gbps |
LANポートの規格が変われば転送速度も大きく向上するため、大容量の通信も高速に処理できるようになります。
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10Gbpsに対応したネットワーク機器/無線ルータなど
10Gbps対応の超高速対応のルータ
ルータは、インターネットと社内LANを繋ぐ役割を持つ重要なネットワーク機器です。
各社が販売しているルータも、手が届く金額ながら10Gbps対応ポートを搭載した機種が増えてきています。
10Gpbs対応の高速スイッチングハブ
パソコンやプリンタなどをLANで繋ぐために欠かせないのが、スイッチングハブ(L3/L2スイッチ)です。
スイッチングハブにも、10Gpbsの高速通信に対応した製品が登場しています。
スイッチングハブには、他にも色々な機能を持った製品があります。以下の記事も参考にしてみてください。

Wi-Fi7(IEEE 802.11be), Wi-Fi6E(IEEE 802.11ax)に対応したアクセスポイント
無線ルータも、2024年にリリースされた最新のWi-Fi規格「Wi-Fi7」に対応した機種が発売されるようになりました。
「Wi-Fi7(IEEE 802.11be)」は、1つ前の規格「Wi-Fi6E(IEEE 802.11ax)」をベースにして、より通信効率や速度遅延が改善された新時代のWi-Fi規格となっています。
Wi-Fi規格
規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
---|---|---|
Wi-Fi 6 (IEEE802.11ax) | 3.5Gbps | 2.4GHz、5GHz |
Wi-Fi 6E (IEEE802.11ax) | 9.6Gbps | 6GHz |
Wi-Fi 7 (IEEE802.11be) | 36Gbps | 2.4GHz、5GHz、6GHz |
Wi-Fi7の最大の特徴としては、複数の周波数帯を同時利用できるようになった点です。
2.4GHz/5GHz/6GHzの通信帯域を利用でき、通信容量の拡大や通信速度が向上。
さらに、3つの帯域を使えるようになったので、周囲に同じ周波数帯を使う機器があっても、影響を受けない周波数帯に自動切替して安定した通信ができるようになっています。
ただし、Wi-Fi7は2024年にリリースされた規格なので、対応しているアクセスポイントがまだ少ない状況です。
Wi-Fi7対応機種はまだまだ金額も高いため、コストパフォーマンスを求めるのであれば、1世代前の規格であるWi-Fi6E・Wi-Fi6対応アクセスポイントもおすすめします。
Wi-Fi6, Wi-Fi6Eに関しては以下の記事もご参考ください。

UTMはセキュリティを強化できるが通信速度への影響に注意
UTMは、ファイヤーウォール・不正アクセス防止・ウイルス対策など、強力なセキュリティ機能を搭載したルータだと思ってください。
セキュリティを気にされる方は、UTMの購入も同時に検討するのがおすすめです。
ただしUTMは、不正アクセスなどを防止するために通信状況を常に監視しているため、通信速度遅延のボトルネックになってしまう場合があります。
どれだけの通信速度(スループット)が保障されているかは、導入前に製品仕様をよくご確認ください。
UTMに関しては、以下の記事も参考にしてください。

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サーバ/パソコン(HDD/SSD)などの端末
パソコンで10Gbpsを利用するには、デスクトップPCをカスタマイズする必要があります。
ノートパソコンでは対応した端子がなく、拡張性もないため10Gbps対応は難しいです。
HDDをSSDへ換装すると6Gbps程度までは高速化できますが、10Gbpsまでは高速化できません。
SSDの規格として近年では「NVMe」が登場しており、最大で32~40Gbpsまでの転送速度を確保できるようになってきました。
NWMeは目玉機能として、NVMe-oF(NVMe over Fabric)という「NVMeの伝送速度をダイレクトにNIC及びネットワークへ伝える」機能を持っています。
SSDを選ぶ際は、SATA対応ではなくNVMe対応のパソコンを選びましょう。以下の記事もご参考ください。



Macについては、デスクトップ(iMac)やノートパソコン(MacBookAir・MacBookPro)でも2017年頃から対応しており、Windowsよりもずいぶん早く10Gbpsに対応しています。
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10Gbps対応のプロバイダ
世の中にあるインターネット回線契約のほとんどは、ベストエフォート型です。
プロバイダが10Gbps対応を謳っていても、実際にどの程度スピードが出るかは、利用者数や回線の混み具合などによって変動します。
さらに近年では、インターネットへの接続方式も次世代への移行を始めています。
・従来のIPv4接続よりも、IPv6接続のほうがスピードが出やすい。
プロバイダ契約の際、接続方式を選べるのであれば「IPoE接続」がおすすめです。
また、一部のプロバイダでは法人向けとして「帯域保証サービス」を行っている場合もあります。
法人向けのプランなので月額料金は少し割高ですが、安定した高速インターネットを利用したいのであれば、検討してみても良いでしょう。
最新のプロバイダ事情に関しましては、以下の記事もご参考ください。

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外部ストレージやデバイスなど
10Gbpsにより近い速度を出すためには、USBの規格にも注意を払う必要があります。
上図のとおり、従来のUSB規格であるUSB2.0・USB3.0では、転送速度は期待できません。
USB3.1(Gen1)で5Gbps、USB3.1(Gen2)は10Gbpsの転送速度が期待できます。
一方、ストレージの規格としてSATA3.0は6Gbpsの速度を持ち、NVMeは外付けであっても32Gbpsの速度が期待できるでしょう。
2015年には、AppleとIntelの協業で、Thunderbolt3という規格が登場しました。
これは、アダプタ形状がUSB Type-Cでありながら、20Gbpsという驚異的な通信速度を持つ規格であり、次世代のインターフェースとして期待されています。
接続するには、PCとデバイスに「USB Type-C」形状のコネクタが搭載されている必要があります。
USBの規格については以下の記事もご参考ください。

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まとめ 社内LANを10Gに
社内LANをすべて10Gbps対応にしようと思ったら、オフィス内で使用しているネットワーク機器、LANケーブル、パソコンなど全て入替えが必要になるでしょう。
パソコンからネットワーク機器、プロバイダに至るまで、様々な規格や機器が存在しています。
お持ちの機器をいかに10Gbps以上の環境へアップグレードするかは、「どこがボトルネックになっているか?」を十分に確認しておきましょう。
また、10Gbps対応を実現するには、コストパフォーマンスにも考慮が必要です。一部の対応機器はまだまだ高価ですので、すべてを一度に交換するのは現実的ではないかもしれません。
通信量が多い部分がどこなのかを見極め、順次機器を入替えていくことが、10Gbps環境を整える第一歩といえるでしょう。
ご興味がございましたらお気軽にご相談ください。
現時点で1Gbpsの環境にも対応出来ていないという方には、以下の記事がおすすめです。社内LANを1Gbpsに対応させる具体的な方法と手順を紹介しています。

弊社ネットワークサポート事例
弊社のネットワークサポート事例は以下のとおりです。




